宮城県山元町の旧坂元中学校を舞台に、新たな地域活性化プロジェクトが始動している。地域おこし協力隊員の半田成さん(34)は、廃校となったこの場所でクラフトビール醸造所を立ち上げ、地域内外の人々が集う「サードプレイス」を創出しようとしている。地域住民や同じ協力隊員との連携を大切にしながら、ビールを通じて町の魅力を発信しようと計画する半田さんに、プロジェクトへの熱い想いや期待を伺った。
ビールを通じて人々が集い、交流できる場を提供したい
半田さん: 私は山形県山形市出身で、2024年4月から山元町の地域おこし協力隊として活動しています。廃校となった旧坂元中学校の給食室をリノベーションし、クラフトビール醸造所を立ち上げるプロジェクトに取り組んでいます。自分がこれまで培ってきた醸造の経験を活かし、おいしいビールを作るだけでなく、ビールを通じて町の人々が集い、交流できる場を提供したいと考えています。
半田さん: ビールはただの飲み物ではなく、人と人とをつなぐコミュニケーションのツールだと思っています。町の方々にビールを選ぶ楽しさを感じていただき、それをきっかけに新しい価値観や交流が生まれれば嬉しいです。また、旧坂元中学校という地域にとって思い出深い場所を未来へと紡いでいくことで、地域の活性化に貢献したいと考えています。
醸造所を地域の「サードプレイス」に―町の活気を育む
半田さん: 将来的には、醸造所で作ったビールをその場で楽しめる飲食スペースも整備する予定です。近隣の方々にはできたてのビールを味わっていただき、町を訪れる方々にも山元町の魅力を感じてもらいたいです。また、旧坂元中学校では定期的にマルシェも開催されているので、地域の生産者とのコラボレーションを通じて、町全体を活気づけていきたいです。
半田さん: 醸造所が地域の「サードプレイス」として機能することで、町内外の人々が自然と集まり、交流が生まれる場になればと思っています。そうすることで、山元町全体の魅力が高まり、地域の活性化につながると信じています。ビールをきっかけに、地域の伝統や文化にも興味を持ってもらえたら嬉しいですね。
熱い想いを受け止め、地域と入居者を繋ぐ存在が求められている
半田さん: 既に入居を予定している私や株式会社Petite Joieさんは、それぞれ強い思いを持って取り組んでいます。そのため、新しい協力隊員には、そうした熱意を持つ入居者同士のエネルギーを良い方向に導き、調整できるバランス感覚や熱意が求められます。また、地域の方々の声に耳を傾け、彼らと入居者をつなぐ役割も期待しています。すぐに成果が出るわけではないので、周囲に助けを求めながら粘り強く活動できる方が理想です。
地域から愛される、そんな場所にしたい
半田さん: 旧坂元中学校を本格的に稼働する時には、施設全体の愛称を地域の皆さんと一緒に考える必要があると考えています。ビール業界では、ホップの収穫や醸造に消費者が参加することでファンを増やす取り組みがあります。同じように、愛称の考案プロセスを通じて地域の方々を巻き込み、施設への愛着やファンを増やすこともできると思います。このプロジェクトの中心となって、地域と入居者をつなぎ、施設の方向性を共に創っていける方と一緒に活動したいです。
半田さん: 最後に、入居者や協力隊員だけで物事を進めるのではなく、地域の方々の目線に立ち、同じ歩調で進んでいくことが大切だと考えています。地域の皆さんと共に歩み、施設が山元町全体の宝となるように努力していきたいです。また、自分から積極的に声を上げれば、協力してくれる人は必ずいると信じています。そのため、何かあれば気軽に相談し合える関係性を築いていきたいですね。